「生理的にダメ」
「生理的に受け付けない」
「生理的にキライ」
かつてそのカンカクがわからなかった。
「生理的」って、なんだ?っておもってた。
そんな全面的な拒絶があるのだろうか。
理性で何とかというものではない、完全な存在否定。
そんなの、発言の数ほど世間にはころがってるのかなって思った。
でもね、満員電車に乗るようになって麻美もわかったよ。
「生理的にダメ」というカンカクが。
とにかく背中に悪寒が走る。
たぶん、ひどく顔もゆがんでる。
目をそらしたい。でも、同時に興味も競ってる。
何とかしたいと思い手を伸ばしたくなる反面、
何が何でも触りたくないという気持ち。
「生理的にダメ」なもの、それは、年配男性の耳毛。
あれほど不可解なものはない。
たかだか数本で一体何を守ろうというのだろう。
まずその根性がいただけない。
数本、たとえ1本であってもなぜか剛毛系、ゆえに存在感は大。
短いからぴんと跳ねて、さらに存在感が増す。
そんな毛なんぞ、鏡を見たくらいじゃわからないから
100人が100人、ノーケア。
せっかくのダンディなおじ様も、その1本で、アウト。
とにかく目をそらしたい。
できれば視界に入れたくない。
許されるなら離れたい。
あぁ、「生理的にダメ」って、きっとこういうことなんだなってわかった。
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