車離れが進んでいると聞く。
具体的な数字はほかに任せるとして。
麻美は車のあるデートを重ねてきた。
一方通行を逆走しかけるサムイ展開も、
隣車線からふらっと車線変更されそうになったアヤウイ展開も、
高速で追いかけられたコワイ展開も、ドライブデートでの思い出だ。
渋滞でイライラするドライバーの横の居心地は最悪だし、
ナビがうまくいかなくてふたりきりの空間が気まずい時だってある。
もしかしたら、付き合い始めのドライブデートは
気遣いの連続かもしれない。
付き合い始めのカップルにとって
ドライブデートはどこか試練的かもしれない。
でもさ
運転席と助手席では、
向かい合うこともなければそのために照れることもないし
準・密室の二人だけの空間は、うまくいけば理解を深めるし
その時間のほとんどにおいて同じ方向を見てるから
同じ時間、同じものを見ているという思い出の共有感がある。
ぽつりぽつりと本音が出たり、相談があったり、告白があったり。
良いドライブデートは次第にココロを溶かしていって、
普段のデート以上にほんわりした暖かい心が残る。
恋するにおいて、このほんわりは大事だと思う。
そして、ほかのどんなデートより、
ドライブデートはこのほんわりが得やすいと思うがどうだろう。
車離れが進んでいるということは
こんなステキなデートを味わえていない女の子が増えているということだ。
これは、なんとも嘆かわしい事態だ。
ドライブデートをしない女の子たちには、
過ぎ行く景色の中でやさしく沈殿していく暖かい気持ちを
知らないのではないか。
ドライブデート特有のキュンを彼女たちは知らないのではないか。
送ってもらう嬉しさと、そのあとの別れのせつなさの
表裏一体感を、知らないのではないか。
これは、なんともさみしいではないか。
別に高級車である必要はない。
二人乗りである必要もない。
フツーのセダンだっていいではないか。
パパの車だって、いいではないか。
車離れで厳しい局面に立たされているのは
何も自動車企業だけでないと思う。
オンナノコもまた、恋を成長させるひとつの手段を失っている。
あぁ、オンナノコでいるために、車が欲しいw
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