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mamirt
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料理の苦手な妻
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[職人の母:さち裁縫室]
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ほかの夫婦はどーか知らんけどサ
価値観の違いって言うのは、こりゃぁもう、永遠の課題なワケよ。

そろそろ丸2年の夫婦生活。
お互い歩み寄って真ん中が取られたものもあれば、
どちらかに寄ったものもある。

どうにもこうにも図りきれず、平行線のものもあるわけで、
そのひとつはレンタルビデオだったりする。

一番のご近所TSUTAYAは、あろうことか渋谷なんだけどさ、
ビデオのフロアにつくなり、丸で他人のようにばらばらと別れ
それぞれ自分の興味にしたがってアレコレ手に取るのよ。

ある程度時間が経った頃、どちらからともなく
近寄ってきて「ねぇねぇ、これは?」とアピールする。

麻美は日常リセットのために選ぶことが多いため、
お涙頂戴ものだったり、笑えるものだったり
とにかく精神浄化というか、考える必要の無いものを
手にとることが多いわけよ。ミニシアター系のサ。
「海を飛ぶ夢」とか「キンキーブーツ」、「女はみんな生きている」なんて。

対してダンナはサ、
現実にある社会問題を取り上げたものだったり、
歴史的事実をあばいたものだったり、
新聞の裏側をわかりやすく映像化された重いものとでも呼びましょうか
そういう類を麻美に提案するわけよ。
「不都合な真実」や「エンロン」、「ブラッド・ダイヤモンド」とかね。

お互いの興味が一致すれば、カウンターへ直行。
そうでなければ何も借りずに帰ることもしばしばある。

この傾向はむかーしからあって
そんなんその当時から気づいていた麻美は、
その日のダンナのテンションやら気分をかぎわけ、
今日なら自分の好みをアピールしても通るだろうとか、
こりゃ、譲歩したものをもって行ったほうが通りやすいなとか、
たったひとつの映画を借りるにもあらゆる思いと考えが
グルグル回転してるのよ。

そんな話を、このまえ、夜寝る前に話した。
ちなみにその日は、意見が一致せずに借りれなかった日だ。

ダンナが手に取る映画の傾向と、まみのそれについて。
麻美の対処法についても。

ダンナは、きっと漠然とは感じていたのだろうけれども
これだけ明確に好みの違いを認識していなかったようで、
「あぁ、そうだね、そうかもねぇ」と、感心してくれた。

んで、うまれた対策方法は2枚借りること。
それぞれ気兼ねせずに自分の借りたいものを借りて
二人で見てみようということになった。

夫婦生活は難しい。
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