はじめは所定の位置にいたのに、
じわりじわりと確実に上に上ってきて喉まで到達し、
ついには口から出てしまうのではと心配になるくらい
自分の心臓の音がバクバクと存在感をあらわす。
今までにだって、「緊張」はしてきた。
でも、大抵の「緊張」は表情が硬くなったり、
目に入ってくるものを見ないようにしたり。
その程度。
これほどまでの緊張はあの時以来。
おもいだした。小学生のときのイタイ思い出。
ピアノを習ってるという、それだけの理由で
音楽の授業のグループごとの演奏でピアノ伴奏担当になった。
そんな技術も度胸も持ち合わせておらず、
まったく出来ない状態のまま、いざ練習の番が回ってきて、
結果、泣き出した。
手に嫌な汗を握りながら、順番が来てしまうまでの時間。
あの時も確か、心臓が喉までのぼってきてた。
喉の奥で感じる鼓動は、なんとまぁ、頼りないのにうっとうしい。
カラダを置き去りにして、口から逃げ出そうとしているとしか思えない。
あー、なんと無責任なアタシの心臓。
肝よ、据わっていてくれ、頼むから・・・。
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