カラオケ。
みなそれぞれに持ち歌があり、
その中心はなんと言っても自分の青春時代ではなかろうか。
麻美にとって90年代中~後半こそ、その嬉しハズカシ懐かしの時代であり、
「しあーわせのよーかん~」と聞けばあの教室を思い出し
「いつーのひーもーこのーむねにー~」と聞けばあのCMを思い出し、
「ちかごーろーわたしーたーちはー~」と聞けばあの仲間を思い出し、
「どこまでもーはてしーなくー~」と聞けばあの後輩を思い出し、
「なにもいーわーずーに~」と聞けばあの恋を思い出し・・・。
ただ、あの時代を席巻していた楽曲たちって言うのは
どれもこれも音域が高かった。
アレにしてもコレにしてもソレにしても。
そも、低音の麻美にとって、
どれもこれもレパートリーにはなりえなかったし。
ところで、うちは車で移動することがダントツで多かった。
近所の買い物から家族旅行まで。
北は北海道、南は・・・四国にも渡ったんだっけか?
とにかく車だった。
そして、選曲主導権がまだなかった幼き頃、
車内で流れていたのは
70年代後半から80年代前半にかけての曲ばかりだった。
「あのーきーえそーにもーえそーな~」と聞き、
「まーるーではりうっすきゃんだるぅ~」と聞き、
「びぃさいれーん、びぃさいれーん~」と聞き、
「なーぎさーのばるーこにーで~」と聞き、
「きみのひとみはいちまんぼるとぉ~」と聞いた。
そして、歌った。大抵は歌詞の意味もわからずに。
おかげでメロディは体にしみこみ、歌詞を見れば多くは歌える。
とある日、仕事の打ち上げでお得意さんとカラオケに行ったんだ。
一番下っ端だったから、否が応にも歌わされる。
そこで選曲したのが、幼い頃車内で聞いた上記のような曲たち。
そもそも歌がうまくないので
そっちのほうが音域的にまだマシだろうとの判断で。
これがサ、なんつーか、どんぴしゃだった。
一緒に仕事をしていたのは自分の両親よりちょっと年下くらい。
麻美が選んだ曲たちは軒並み、彼らの青春時代楽曲だったんだよね。
ウケちゃってね、深夜までヤンヤヤンヤと歌い続けたんだ。
確か、後日第2回カラオケ大会までやったんじゃなかったか。
お年頃の、イマドキの娘であるにもかかわらず、
カメラマンをはじめ、公私どこでも「80年代」といわれてたけれど、
なーんだ、立派な武器になるではないか。
そも、自分自身が歌っていて楽しかった。
その日以来、自分の「80年代」にふたをするのをやめた。
聞いて楽しい90年代、
歌って楽しいearly80年代だという
自分の中にカラオケレパートリー定義が出来たから。
フッ。
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